たまたまですが、仕事関係の知人がフトアゴヒゲトカゲを飼育していていました。そしてコオロギの繁殖方法を聞かれました。しかし、口で簡単に伝えられるものじゃないし、もしかしたら需要があるかも知れないのでブログで書くことにしました。全て我流ですが餌用コオロギの繁殖方法について書いてみたいと思います。
私はヒガシヒダサンショウウオを飼育しているのですが、このヒガシヒダサンショウウオ(私が飼育している個体の場合)はタイガーサラマンダーのように人工飼料を食べてくれないので生き餌の確保が必要です。その為に面倒ではありますが、コオロギの繁殖をしています。ぶっちゃけサンショウウオ飼育よりも、コオロギの管理の方が大変です。
飼育容器や環境について
まず、日本国内で流通している餌用コオロギはフタホシコオロギ(クロコオロギを含む)、ヨーロッパイエコオロギの2種類が一般的だと思います。日本にもエンマコオロギやオカメコオロギ等のコオロギが生息していますが、繁殖には日照時間が関係するらしくて繁殖活動をコントロールする事が困難です。流通している2種は温度管理さえしていれば通年繁殖する事が出来るので、繁殖させるには一般的に流通しているこの2種(3種)を用いるのが賢明です。
飼育容器についてはホームセンターで購入したプラスチックケースを使用しています(画像はヨーロッパイエコオロギ)。コオロギはジャンプするのでそれなりに高さのある容器が必要です。当たり前ですが段ボール等のツルツルしていない素材は登って逃げ出してしまいます。特にオスのコオロギが逃げ出すと鳴いてうるさいので注意してください。
フタホシコオロギ、ヨーロッパイエコオロギ共に飼育する温度は25℃から30度位の間であれば問題ないと思います。私の場合冬季はスポットライトを使用しています。湿度に関しては蒸れないように注意してください。丈夫さはヨーロッパイエコオロギの方が丈夫です。
餌用コオロギの餌ついて
流通している餌用コオロギのほとんどは、ふすま(ブラン)と呼ばれる小麦粒の表皮部分が使用されています。比較的栄養バランスが良く、何よりもコストが低いため、多くの養殖業者さんが与えていると思います。ミールワームの餌にもなっています。
しかし、ふすまには決定的難点があります。リンが多すぎるのです(よく見たらカリウムも多い。血圧下げる為に自分も食べようかな?w)。
小麦粉と全粒粉の主な栄養成分(可食部100gあたり)
小麦ブラン研究会様より引用
一般的にカルシウムとリンは同量が望ましいとされています。リンが多いとカルシウムの吸収が阻害されてしまいます(逆もまた然り)。要するにリンの過剰でカルシウム不足のコオロギになってしまいます(細かい事を言うと脂溶性のビタミンD3も関わって来ます)。このカルシウム不足のコオロギを与えられた生物はそのまんまカルシウム不足に陥ってしまいます。その為、購入した餌用コオロギに不足しているカルシウムの粉を振り掛けるダスティングを行うのが基本的な解決策になります。
ダスティングとは
コオロギ等にビタミン剤やカルシウムの粉をまぶして栄養を強化してから餌として生物に与える事をダスティングと言います。
しかし、たしかにふすまは安く購入する事が出来ますが、せっかく自分で繁殖するのですから栄養にもこだわりましょう。
はい。得意のダイソーさんの熱帯魚用の餌です。分量を考えると決して安くはありません。このエサをコオロギに与えますが、コオロギは雑食性なのでぶっちゃけ何でも食べてくれます。
栄養成分を見るとこんな感じでふすまよりもバランスが良さそうです。私の場合飼育している生物が両生類のサンショウウオなので、魚が健康に育つ餌なら完全栄養と考えています。その餌で育てられたコオロギは両生類のサンショウウオにとってもほぼ完全栄養と考えています。この手法はガットローディングと言うものになりますが、市販コオロギを購入してからではなく生まれた時からのガットローディングなので安心感が違います。
(餌に群がるヨーロッパイエコオロギ)
ガットローディングとは
コオロギ等自体に栄養価のある餌、もしくはビタミン、カルシウム剤等を摂取させて栄養を強化してから餌として生物に与える事をガットローディングと言います。
金魚の餌、亀の餌、ザリガニの餌でも良いと思います。鯉の餌なんかもミキサーとかで粉々にすれば使う事が出来ます。餌はピンキリなのでご自身が納得できるもので良いかと思いますが、ドッグフードやキャットフードは脂肪分が多そうなのでお勧めしません。
水については成虫の場合ですが水道水をワンカップサイズの焼酎のフタで与えています。水深が深いと溺れてしまう可能性があるので浅い容器ならなんでも良いと思います。コオロギの飲み水は糞等によって汚れやすいので常に清潔にしてあげて下さい。また、生野菜をあげても良く食べるので、そこからも水分を取る事が出来ます。
繁殖ついて
雌雄の見分け方についてはご存知の方が多いと思いますが、オスは鳴きますし、メスは輸卵管と言う針みたいなものがお尻に生えています。 翅の生えた成虫は勝手に交尾をしてメスのお腹が膨らんで来ます。産卵場所が無いと産卵する事が出来ないので用意をしてあげましょう。
飼育容器の中に湿った砂利を入れた小さなタッパーウェアを入れます。そしてコオロギが自由に出入り出来るように新聞紙を引っ掛けています。出入り出来れば良いので割りばしでも何でも良いです。この砂利はサンショウウオ用に使用しているハイドロカルチャーと言う水耕栽培用の砂利みたいな物です。これを適度に湿らせて産卵床としています。
園芸用品を売っているお店や得意のダイソーで入手する事が出来ます。これは別に赤玉土だったり他の砂利でも毒や不純物が無ければ大丈夫だと思います。なんなら金魚や熱帯魚などで使用する大磯砂利でも繁殖出来る位です。砂は試したことが無いので分かりません。
さっきのタッパーウェアを横から見た画像です。産卵数はこの位の密度が良いです。産卵床を入れている時間を長くするといくらでも産卵をするのですが、通気性が悪くなってしまうのか孵化率が極端に下がってしまい結局は失敗します。
その他の注意事項は乾燥させない事と、温度を25℃から30度位の間を保つ事です。大体2週間前後でゴマ粒よりも小さな1令コオロギが孵化し始めます。
孵化が近づいてきたら産卵床をプラケース等に移し、孵化した1令コオロギが外に出られるように新聞紙等を引っ掛けておきます。
1令コオロギの餌に関しては、成虫と同じ餌をすり鉢で粉状にすりつぶして与えています。水に関しては成虫と同じ容器で与えると飲めなかったり溺れてしまう可能性があるので以下の様にして与えています。
ペットボトルのキャップをカットします。カットする時は手先に怪我をしないよう十分注意して下さい。
カットしたペットボトルのキャップにティッシュペーパーを詰めて十分に水を含ませて与えます。これによって小さな1令コオロギが溺れる事なく水を飲む事が出来ます。ティッシュペーパーは乾燥するのが早いので水を切らさない様に注意して下さい。濡れたティッシュペーパーを直接プラケースに放り込んでも良いのですが、その場合プラケースが汚れやすくなります。また、成虫にこの方法を使うとここに産卵してしまい、恐ろしい光景を目にする事になりますw
と、まあ私の場合こんな感じで累代繁殖をさせています。基本的には温度管理が重要で餌、水、飼育用容器を清潔に保つ事で上手に繁殖させることが出来ると思います。
すきっぷのブログを読んで頂き、ありがとうございました。