私は小学校1年生の頃から現在に至るまで、ずっネコを飼育し続けています。ネコブームと言われておりますが、私は昔からネコ依存症です。犬も嫌いではないのですが、マイペースな性格のネコの方が、一緒にいて断然落ち着きます。
最初に飼育したネコは、母が友人からもらってきたキジネコの子猫でした。このネコはかわいそうなことに、小学校1年生の私にいじくり回されすぎて弱ってしまい、元の飼い主に戻されてしまいました。私としては可愛くて大好きで、いつも一緒にいたくて「ぬいぐるみ」のように抱きかかえて公園とかに遊びに行き、結果として弱らせてしまいました。悪意はなかったのですが、多大な精神的ストレスと肉体的ダメージを与えてしまっていたようです。
母もネコが欲しかったのか、しばらくして別のネコをもらって来ました。今回は私も反省を生かしてネコと付き合いました。白地に茶トラ柄が混ざった雄の子猫で、もらい主の苗字の一部を使わせてもらい、エバと名付けられました。
このネコは今まで飼育していたネコの中で唯一、自由に外出することが許されていたネコでした。他の猫と喧嘩をして、キズだらけで帰ってくる事がよくありました。ある日のこと、小学校の授業中に窓際の席から校庭に目を向けると、このネコが歩いているのを見つけて驚いたことがありました。かなり行動範囲が広かったようです。学校から帰ると体を斜めにしながら走って駆け寄って来る可愛いネコでした。よく家の屋根に一緒に上り、昼寝をしました。私が風邪を引いて寝込むと、いつもそばで見守ってくれました。
このエバと言うネコは12年で病気にかかってしまい、みるみると衰弱していきました。やはり自由に外出させていた事が影響したようで、他の猫から病気をうつされたようでした。私はこの頃、アパートに住んでいたのですが、親から「エサを全く食べなくなった」と連絡を受け、エバが大好きだったベビースターラーメンを買って会いに行きました。すると、私に気を使ったのかベビースターラーメンを少しだけ食べてくれました。そして、その後亡くなりました。
その次に飼育したネコは、ペットショップから無料でもらったグレーのメスの子猫でした。このネコが成長し、発情して家出をしてしまい、妊娠をして帰ってきました。このネコは5匹の子猫を産みました。さすがに親猫を含めて6匹飼育するとなると大変なので貰い手を捜しましたが、1匹しか貰い手が見つかりませんでした。時期を見て残り5匹の避妊去勢手術を行ないましたが、失敗がひとつありました。それは、オス猫の去勢時期です。
オス猫が発情してから手術を行なったのですが、トイレだけでなく、家中あちこちでオシッコをしてしまいます。このクセは一生直りませんでした。オス猫の去勢は生後半年位までにしておいた方が良いと思います。この猫たちの中で特に気に入っていたのが「モグ」と言うオス猫でした。
甘えん坊で、私がご飯を食べていると、肩をポンポン叩いてエサをねだる可愛い奴でした。ある日、ドアの開け方を教えたら、すぐに覚えて開けられるようになりました。しかし、オシッコの癖は直らず苦労をしました。この猫たちはたくさんの良い思い出を与えてくれて、15年から20年生きて、いなくなりました。
この次に飼育しているネコが、現在飼育しているネコになります。ちょうど私が離婚をして娘が母と離れて暮らす事になってしまったので、少しでも気休めになればと思いボランティアの里親探しの方から譲っていただきました。まずは荻窪にある仲介役の喫茶店にネコを数匹持って来てもらい、娘と飼育するネコを選びました。この後に里親探しの方が自宅までやって来て、飼育できる環境か?飼育できる人物か?をチェックをしてからネコを譲って頂きました。
このネコは生後3ヶ月位のオス猫で、娘によって「ミロ」と名付けられました。なんかココア飲料みたいな名前ですが、娘が付けたので仕方ありません。しかし実際は通称名で「みー君」と呼ぶようになりました。
飼育が始まりましたが、発情をする前に去勢をしなければなりません。昔からお世話になっているたかみね獣医科さんで格安で去勢をして頂きました。たかみね獣医科さんは飼育者とペットに対してとても良心的な獣医さんです。会話をすると本当に生き物が好きなんだと言う事が、ひしひしと伝わって来ます。ペットに何かあった時、伺える距離にお住まいの方は是非訪ねてみてください。
発情する前に去勢をしたので「みー君」は粗相をしませんでした。しかし、家中の家電のコードを噛み千切っていく悪癖がありました。よく感電しなかったな(実際にはしていたかもしれませんが)と思うほどでした。わたしはその都度はんだ付けの作業に追われました。しかし成長して大人になると、この悪癖はピタリと止まりました。歯茎が痒かったりしていたんでしょうか?
この「みー君」は、私の猫史上最大の甘えん坊です。トイレ、お風呂、どこまでも私にまとわり付いて来ます。ドアも鍵をしないと開けてしまいます。
(家に居るとこんな感じで離れてくれません)
(みー君のもみもみです)
これから猫を飼育したいと思っている方には、オス猫を飼育する事をお勧めします。オス猫は甘えん坊でよく懐きます。メス猫は個性的な猫が多くて面白いのですが、性格がきつい事もあります。長生きをさせる為には屋内飼育をお勧めさせて頂きますが、その場合は生後3ヶ月から6ヶ月位の間に去勢手術を行なってください。家の幅木がオシッコでめくれ上がる事になってしまいます。
長くなってしまいましたが、ここからが本題となります。私の場合、こんなに連続してネコを飼育していますが、ペットロスに関してはこんな考えを持っております。賛否両論、お叱りを受ける可能性がある議題ですが「こんな考えの人間もいるんだ」と、ご理解を頂けると幸いです。
私は世間一般的な方と比べると、生物と触れ合う機会がとても多い人生を歩んで来ました。多数の死を目の当たりにして、20代の頃は死に対して非常に敏感な時期を過ごしました。
死という言葉は、タブーですよね。誰しも触れたい言葉ではありません。普段生活をしていて、人間の死体を見ることはあまりありません。これだけの人間が街にいるのに道端に死体が転がっているなんて事はありませんよね。これは病変が起きたら即救急車。死んでいても何でも即その場から持ち去ってしまいます。その結果、生物の理としてはあたりまえの死を遠ざけ、死に触れない、死を意識しにくい社会を我々は作り上げています。
でもそれは仕方がないのかも知れません。誰しも死は怖いですし、日常でいつも死を意識していては楽しい生活は望めません。
でも、残念ながら生物には必ず死が訪れます。諸行無常です。確定事項なので受け入れるしかありません。悩む事も意味がありません。怖がる事にも意味がありません。生物は生まれた瞬間から、終着点である死に向かっているのです。くよくよマイナス方向に考えるのは時間がもったいないと思います。
ペットロス。そもそも私には「なんでこんな言葉が生まれたんだろう」と思っています。時として、ペットに対して自分の家族以上に愛情を感じる事もあるでしょう。そのペットが居なくなった時の辛さも十分理解出来ますし、私も味わって来ました。
飼育者は生物を飼育しているんですから、この日が来ることを理解して飼育をし始めたはずです。それなのに「こんなに辛い思いをするなら、もう2度と生物は飼わない」なんて後悔している方を良く見かけます。
気持ちは理解できますが、そうではありません。
「あなたとペットとの楽しかった時間と思い出を否定するんですか?」
私が言いたいのはココです。ペットを飼育した事を後悔すると言う事は、こういう事なんじゃないでしょうか。死んでしまった辛さを味わう時間と、一緒に過ごして楽しかった時間、どちら方が長いでしょうか?辛さと楽しかった思い出、どちらの方が大きいのでしょうか?
感じ方は人それぞれだと思いますが、楽しかった時間と思い出が大きいから、ペットを失った辛さが大きくなります。しかし、死に対して逃げずに向き合うと、楽しかった思い出の方が断然大きくなると思います
ペットは「楽しかったよ。ありがとう!」と送って欲しいと思っているはずです。「2度と生物は飼わない」なんて後悔をさせる事を望んではいないと思います。
ストレスの多い現代社会においてペットが与えてくれる癒しの効果はとても大きなものです。いつまでも悲しんでいないで、再びペットを飼育して楽しい人生を送っていただける事を望みます。